経営集客の前に
経営者であれば誰でも、「一人でも多く集客したい」「売上を増やしたい」と考えます。ところが「集客」「売上アップ」は勉強すればするほど、小手先のテクニックに走りがち。時間も無駄になり、お客様から悪い印象をもたれる恐れもあります。
もし「理想のお客様が、自然と集まる経営をしたい」と考えるなら、まずは集客に関する基本的な考え方や、踏むべき手順を知り、「経営集客の軸」を定めることが大切です。このページでは、「理想的な経営を実現するための、経営集客の基礎知識」を説明しています。ぜひ最後までお読みください。
一体どこが違う?業績が「伸びる人」VS「伸びない人」
まずは質問です。集客や売上アップのために行動しようと思ったら、あなたはどんなことをイメージしますか?
たとえば、
- 商品の魅力がしっかり伝わるチラシを作る
- 予算をかけてホームページをリニューアルする
- 再来店を促すDMを作り、休眠客に送る
- ブログを使って、こまめな情報発信をする
- 積極的に交流会に参加して、名刺をたくさん配る
……など、きっと多くの答えが出てくるはずです。たしかにどれも大切。でも、注意すべきことがあります。それは、「お客様の満足度にフォーカスしているか?」ということです。
私はいま、年間200人以上のお店経営者の悩みを聞いています。すると「どんどん業績が伸びる人」と「思うように結果が出ない人」には、それぞれ共通点があることに気づくのです。
・どんどん業績が伸びる人 →お客様の満足度を一番に考える
・思うように結果が出ない人→集客方法や集客ノウハウだけに興味を持つ
この違いはとても大きく、一年後そして五年後には、両者の差はかなり開きます。理解しなくてはいけないのは、「たった1つの集客方法で、経営全体が良くなることはありえない」ということ。商売は、PDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)の繰り返しで成長するもの。逆に、このサイクルを習慣化しなければ、商売はいつまでも成長しないのです。
PDCAサイクルをまわす!具体的な手順とは?
それでは、PDCAサイクルをまわすためには、何をすべきなのでしょうか?手順を一つずつ見ていきましょう。
1)現状分析
まずは、「いまの状態」を正確に把握することから始めます。いままでに来店してくれたお客様の人数と、ここ数か月で来店してくれたお客様の人数。この二つを比較してみてください。
例)営業年数3年のエステサロン
新規客(来店実績)→1000人
現在の顧客 →200人
このような数字が出たとします。あなたがこのサロンの経営者なら、どこに着目しますか?「1,000人も来店してくれた!1,000人も来店実績がある!」と喜んでいたら、やや問題があります。本当に着目すべきは、「新規客と現在の顧客の人数差」。1,000人が来店してくれたにも関わらず、顧客になっているのは200人だけ。残りの800人はどうなったのでしょうか?ここに注目できるなら、業績を伸ばせる経営者でしょう。
この現状を見て、「やはり、まずは新規客が大事!」と考えるなら、この先を読んでもあまり参考にならないかもしれません。まずは、自分のお店のリピート率を把握しましょう。いかにリピート集客が重要であるかを感じることが、集客の基本です。
2)お客様の声を集める
現状を把握したら、次はお客様の声を集めます。
あなたは「当店の一番の価値は〇〇です」と断言できるでしょうか?恐らく多くの方が「当店のウリは、きっと〇〇だと思います」「〇〇が一番のウリのはず」というように、推測でしか話ができないでしょう。経験や勘だけに基いているケースが多く、現実とギャップが生じていることも多々あります。自信を持っていえる人は、きっと少数派でしょう。
まずはぜひ、お客様の声を集めてください。そうすれば、「あなたの店のどこに価値を感じてくださっているのか?」が一目瞭然で分かります。なぜなら、お客様は価値を感じるからこそ、お金を払ってくれます。価値がなかったら、お金を払ってはくれません。「お金を払う人=価値を感じている人=価値を分かっている人」なのです。
ただしお客様の声といっても、漠然と聞くだけでは不十分。真っ先に聞かなければいけないのは、「リピートの理由」です。これまでに経営相談を受けた90%以上の方は、リピートしてもらえている本当の理由を知りませんでした。「多分〇〇だろう」という、あいまいな答えしかかえってこなかったのです。
また、聞くべき内容は他にもあります。「店に対する評価」や「来店の決め手」なども聞きましょう。効果的な販促を仕掛けることができます。すべての答えはお客様の中にあるということです。
3)顧客管理・客層分析
次に、「どのようなお客様が来てくれているのか?」を調べましょう。いわゆる「顧客管理・客層分析」です。主なチェックポイントは次の通り。こうした要素をすべて把握するのが、リピート集客の基本です。
▼チェック&管理すべきポイント
・世代
・職業
・来店頻度
・一人あたりの売上
・趣味や好き嫌い
・会話
飲食店の場合、顧客情報を入手するのはむずかしいかもしれません。でも、来店の目的を聞いたり、注文したメニューを分析したりすれば、来店理由を把握することは可能です。サロンや治療院ならば、顧客カルテがあります。お客様の情報を、日々記入していきましょう。その後とるべき対応が明確になります。
4)商品分析
恐らく多くの経営者が、「うちの商品のことは、もちろんよく分かっている」と胸を張ることでしょう。でも、本当にそうでしょうか?どこまで客観的に、商品を分析できているでしょうか?
「品別販売数」や「商品別売上」を集計するのは基本中の基本。店全体の売上の変化に一喜一憂するのではなく、売上を細分化し、商品ごとに細かく見ていきましょう。毎月の数字を徹底的に分析し、時系列でチェックしていけば、さまざまなことが分かります。
▼商品分析から分かること
・どんな商品が喜ばれているのか?
・どんなときに、その商品が売れるのか?
・特に売れる月は?
・逆に、売れない月は?
長年販売している商品や、開発に苦労した商品などは、つい思い入れが強くなり、愛着がわくもの。その結果、「これが看板商品!」と思い込んでしまう場合があります。ところが、客観的な数字をもとに分析すると、意外な商品が実は、お店を支えてくれていることもあります。思い入れや愛着に左右されないためにも、「売上の細分化による商品分析」を徹底しましょう。
5)検証
ここまでのステップで、「店の本当の強みは何か?」「喜んでくれるお客様は誰か?」「売上にもっとも貢献してくれる商品は何か?」などが分かりました。これらの情報をまとめて、商売のコンセプトとターゲット、特徴を明確にします。
安売り以外で、喜ばれていることは何でしょうか?お店の長所や弱点は何でしょうか?お客様の評価とも照らし合わせて、一番の「ウリ」を明確にしましょう。
6)集客前の準備(新規客)
次は、集客の作業に入ります。新規客を集めるためにはまず、集客する媒体を決めることが重要です。
▼主な集客媒体
▽紙媒体
・新聞広告
・チラシ
・DM
▽ネット媒体
・ホームページ
・ブログ
▽その他
・看板
・営業用パンフレット
成果を出そうと思えば思うほど、ついすべてを揃えたくなります。でも、あれこれ手を出しすぎると、中途半端になりかねません。まずは、本当に必要なものだけを揃えましょう。
7)集客前の準備(リピート集客)
集客と一口でいっても、「新規集客」と「リピート集客」では、集客に適した媒体が違います。リピート集客の場合は、お礼状やニュースレターを有効活用しましょう。
なぜなら、お客様が来なくなる一番の理由は、「忘れてしまう」から。たとえば、「去年訪れた飲食店の中で、もっとも感動したお店はどこですか?」と聞かれたらどうでしょうか?すぐに思い出すことができるでしょうか?その店のことを、この一週間以内に思い出したことはあるでしょうか?
恐らく多くの方が、じっくり考えた末にようやく「そういえば、あの店だ!」と思い出したはず。しかも一週間以内もしくは半年以内に、再度訪れたという人は、少数派ではないでしょうか?その場はどんなに感動しても、意外と忘れてしまうものなのです。
忘れられないためには、コンタクトを取り続けることが効果的。中には「礼状を出しただけで売上が2倍になった!」というお店もあります。「忘れられているのでは?」という前提で、一度来店してくださったお客様に、令状を出してみましょう。
ただし注意すべきことがあります。それは、「あくまでもお礼のお手紙である」ということ。たまにセールスレターのような礼状を見かけます。でも売り込みは嫌われますので、逆効果になりかねません。また、お礼状には割引券も必要ありません。感謝の気持ちと、「私はちゃんと、あなたのことを覚えていますよ!」というメッセージ。この二つだけで、「忘れられない対策」は可能です。
8)目標と計画を作る
ターゲットや特徴が決まり、集客の準備ができました。次はいよいよ、「行動計画」をつくります。できるだけ詳しく数値化した目標にして、計画に当てはめていきましょう。
▼目標と計画の例
・10日までに、〇〇エリアに3,000部ポスティングする
・ブログの読者登録を1日15件ずつ、1か月間続ける
・キーワードをねらったブログ記事を、毎日1記事ずつ書く
ポイントは、「具体的にする」ということ。計画があいまいだと、行動もあいまいになります。逆に、計画が具体的であれば、行動しやすくなります。1か月計画、3か月計画、1年計画など、いくつかに分けて目標と計画を作りましょう。
9)行動しよう!
悩み、迷い、苦しむ時期は、ここまでです。お店のコンセプトが決まりました。やるべきことも明確になりました。あとは、計画に沿った行動をするだけ。とにかく行動です。
とはいっても、ここまでくるには山あり谷あり。かなり精神疲労がたまっていると思います。「やるべきことはやった!」と確信がもてるなら、一度休息をとることも大切。2~3日休暇をとって、リフレッシュすることも必要です。
ポイントのまとめ!
PDCAサイクルが理解できたら、早速「現状分析」から始めましょう。このサイクルをどんどんまわし、喜ばれるための改善改良を続けることが経営の基本。繰り返すことで、一歩一歩理想に近づきます。
最後にもう一度、大切なことをお伝えします。
分からないことはお客様に聞く!
お客様だけが知っている、あなたの価値を信じて行動する!
この二つが、経営集客を支える軸となります。「理想のお客様が、自然と集まる経営をしたい」と考えているなら、まずは早速今日から「現状分析」を始めましょう!